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2020.08.18

國領さんのこと

もう3週間も空いてしまったなぁ。
カレンダーの予定なんかそれほどないのに、色々な事があったんだ。頭の中で。

2週間くらい前の事だったか、陶芸家の國領寿人さんの奥様から冊子が送られてきて、
今年の6月に國領さんがお亡くなりになったことを知りました。
冊子は息子さんがお作りになったもので、國領さんの作品の写真と息子さんが綴った國領さんの生涯とお仕事についての文章が載っていました。


毎日写真を見て、何度も文章を読んで過ごしました。
悲しいというより、気が抜けてしまった感覚。
でも、國領さんという方を知ることができた幸せ。その両方。
だから、気が抜けてしまったけれど、気持ちは薄明るい空のようでした。

写真を見ていただけるとわかるように、作風が途中でガラッと変わっています。
日展にも入選し、順調に陶芸家の道を進んでいた國領さんが、
陶器のための陶器ではなく、心豊かな生活のための器を作る道を選んで、
その道を邁進するためには、相当な決意と突き動かす情熱があったのでしょう。
そして元々國領さんが持っていた独特の世界観が溢れ出たのでしょう。

私がお目にかかった時の國領さんは、とても明るくて楽しそうな印象の方でしたが、
息子さんによると、突き破ることによって自らを解き放ち、吹っ切った後の姿であるということです。


私の下手な言葉で國領さんの事が正しく伝わらないのが嫌で、時間ばかりが過ぎていきました。
「立派な作品を作ろうとか評価される陶器を作ろうという作為はありませんでした」という息子さんの言葉。
ただ、國領さんの作品が好きで、こんなふうに生きたいと思う。そんな人とその世界に触れる機会を頂いたことを、心から幸せに思います。

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