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2017.09.10

空地の気持ち、まぼろし

昨日から左目が痛痒いので、目薬を買いに行った。
帰り道、あんまり良い天気なので遠回りをして歩いていたら、
思いがけないところに空き地が現れた。

そうか、半年ほど前に火事で焼けたアパートがあった場所だ。
つまらないアパート。もちろん外観が。
黒焦げになって初めて、まじまじと見たことを思い出した。
それも取り壊されて、夏の間に草が生い茂ったのだ。

都市の地面は無口だけれど、建物が取り払われると、
抑えていた気持ちが爆発するように植物を繁らせる。
もちろん土の中から自然に草が生えるわけもないのだから、
植物がやって来たのだ。

洋種ヤマゴボウ、イヌホウズキ、マルバルコウ、タケニグサ、……
背の高い、背の低い、たくさんの草…

ずっと我慢していたんだ、
本当は怒っていたんだ、
そんなふうに聞こえたのは、空き地ではなく私の声だったのかもしれない。

アパートも、地面を覆う草も、
まぼろし
そうなるのはわかっている。

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